アメリカって本当にレディーファースト?

アメリカって本当にレディーファースト?

東北地方を担当していたとき、アメリカ人社長夫婦を盛岡市内へ案内する機会がありました。そのときの社長夫婦のやりとりを見ていて疑問がわいてきました。それは「アメリカって本当にレディーファースト?」。

 

社長夫婦がやってくる。

自分の担当地域に社長がやってくるということは、滅多にあるものではないので、担当者にとって大変な思いです。地域の販売会社社長とのミーティングの設定をしたり、市場を案内したりするので会社のネオンサインや看板などもチェックします。汚い看板などがあって社長に指摘されるなどしたら、あとで担当部長に大目玉を食うことになりかねません。とにかく、事前に社長が通過するであろう道を再三チェックします。

社長夫人のリクエストで骨董品店巡り

それに今回はもう一つやることが加わりました。それは社長夫人が盛岡市内の骨董品店を見て回る予定があったからです。どこで聞きつけてきたのかわかりませんが、盛岡市内には品数豊富な骨董品店があるらしく、日本の骨董品に興味がある社長夫人がそこを見て回りたいらしいのです。やれやれ。

なかなか気に入った商品が見つからない

社長と現地販売会社とのミーティングを無事終えて、いよいよ骨董品店巡りです。事前にピックアップしておいた店を順次回ります。ところが、社長夫人だけ店へ入っていくものの社長は車から降りても来ません。
社長夫人が気に入った物があればそれを車の窓越しに社長と話し合い、買うか買わないか決めているようです。

やっと見つけた糸紡ぎ器

やがて、ある店で社長夫人が古い糸紬器を気に入って、それを買いたい旨社長と交渉し始めました。その品物は10,000円。当時社長の年収は1億円近いという社内の噂でした。社長夫人が時間をかけてやっと見つけた品物です。しかも、高年収の社長からすればたった10,000円。そのとき思いました。年収1億円近い夫の妻は10,000円の買い物の自由もないのか、と。

頑として首を縦に振らない社長

ところが、社長夫人が車の窓越しに社長と交渉していますが、社長はなかなか首を縦に振りません。どのくらいの時間社長夫人が交渉していたか忘れるぐらいの時間がたちましたが、社長は首を縦に振りません。見ている方もだんだんしびれを切らしてきます。心の中では”高額所得者がたった10,000円も渋るのか”と社長に対する敵意が芽生え始めました。

諦めた社長夫人

なかなか社長が同意しないため、ついに社長夫人は諦めました。年収1億円近い夫が、妻のささやかな買い物に同意しなかったのです。欧米の夫婦の財布は夫が握っていることは聞いていましたが、妻の1万円の買い物でも夫の同意がなければ買えない妻。これだけの高額年収の日本の夫婦ではほとんどあり得ない話です。
その後、平泉の中尊寺をスケジュールに入れていました。僕はもう1台の車で社長が乗っている車を追いかけながら、今ごろ車の中で社長と社長夫人はどんな話をしているのだろう、と気になって仕方がありませんでした。
中尊寺の境内では社長夫人は普段と変わらない態度で夫や皆に接していましたが、なぜか社長夫人がかわいそうに思えてきました。

アメリカって本当にレディーファーストかどうか疑問

日本の夫婦で夫が財布のひもを握っているのは本当にまれだと思います。日本の夫婦の方がもっと自由に買い物ををしていると思います。欧米社会が本当にレディーファーストなら、もっと妻は自由に買い物をしているはずだと思いますが、なんか疑問がわいてきました。あるいは欧米の夫婦は離婚が多いので、そのときのためにこのような習慣が生まれたのかもしれません。また、フランスでは籍を入れない契約婚があると聞きます。いろいろな意味で妻の立場は守られているらしいのですが、やっぱり妻の立場は弱いという印象は免れません。
おそらく欧米社会での女性の立場はレディーファーストではなく、そのためにことさらレディーファーストを前面に出して世間でそのように振る舞っているだけかもしれません。

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